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ようやく暖かくなってきたとはいえ、
本格的な春にはまだ少し早い。
でも確実に、あちらこちらで春の気配を感じる。
気が付くとつい、パズルのあった場所に手を置いていて。
「このクセはまだ治りそうにないよ。もうひとりのボク。」
コソリと呟いて思わず苦笑いを浮かべる。
腕をいっぱいに伸ばし、背伸びをして空を見上げる。
ポカポカ陽気の、優しい陽の光が降り注ぐ。
こんな優しい光が降り注ぐ日は、キミを思い出すんだ。
ボクを包み込む様な、優しくて暖かい光。
まるでキミのようでしょ?
いつでも、ボクを包んでくれたキミの暖かい心と似てる。
今でもキミが居なくなってしまったのは、哀しいって思うけど、
こうやって、いつでもボクを見てくれている事が分かったから…。
いつまでも泣いてなんかいられないよね?
精一杯、ボクなりに頑張って前に進んでいくよ。
だから…、いつまでも見守っていて。
その暖かい心で、ボクだけを見ていて。
キミを感じられるだけで、ボクは幸せだよ?
―キミという光(完)―
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