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「雨だね…。」
「雨だな…。」
朝方からしとしと降り続ける雨に、溜息を吐いて眺める。
どんよりとした重苦しい空模様と、じめじめとした湿気に気持ちまで沈んでくる。
ソファーにもたれながら、窓の外をぼんやりと眺めて、知らずにまた溜息が零れる。
「そんなに溜息ばかり吐くなよ。」
遊戯の溜息の多さに半ば呆れながら、読んでいた本を閉じて視線を移す。
「だって、鬱陶しくない?じめじめするしさ。」
「確かにそうだが、相棒が言う程嫌じゃないぜ。」
そう言って遊戯の隣に座りなおして窓の外に目を向ける。
不思議な顔で外に向けていた視線を<遊戯>に移すと、微笑むように柔らかい笑顔に鼓動が跳ね上がる。
「春の雨は優しい感じがしないか?」
そう言う<遊戯>に見惚れたままでいると、まるでスローモーションのように振り返ったその笑顔にまた視線が釘付けになる。
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