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36.5/桐川
茹だる様な炎天下。
下手すりゃ、ハイヒールどころか普通の靴さえ、柔らかなアスファルトに埋まりそうな熱風を伴う雰囲気が町中に広がっている。
『今世紀最大の猛暑!!』
そんな在り来たりなキャッチコピーが、街中の三流出版社の新聞に踊っていた。
そして新聞を煽るそれは、室内にいる者にまで侵食し、室内はさながらサウナの様になっていた。
はよ修理せなあかんな。
かくんッ。と力無く首を曲げ、安アパートの壁に背を預けながら、川田は額に浮かぶ大量の汗を拭い部屋の天井近くに設置された白い物体を見上げた。
ボロながら、暑い地方の主需品のせいだろうか、此処に入った時らか備え付けられていた――本来ならこの季節大活躍していたに違いない――クーラー。
この熱気のせいでもないのだろうが、それはいい具合に壊れていた。
コントローラーを押しても、
本体の電源スイッチをいじっても、
うんとも、スンとも言わない。
まぁ、押した途端、何を間違ってか熱風を放出しないだけでもましか。と川田は諦めた。
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