36.5/桐川

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遠目でも何処か自信たっぷりの少女の印象的な瞳。 好奇心? 向学心? 神聖な空気が、見詰め合った少女たちの間に広がる。 が、それは一瞬の事で、「プッ」とどちらからとも無く息が漏れ、 途端。『きゃあー!』と言う黄色い悲鳴が上げると、少女たちは辞書を閉め立ち上がり去っていった。(どうやら睨みつける図書官に気が付いたらしい) 川田はそれがいつ頃の話で、理由も知っていたからそれ以上興味は無く、それ以降はただ『病気の正しい応急処置』なんて訳の分からない(治療方法載せんかい!)文章に目を落としていた。 何で思い出したか? 川田には、理由が分かっている。 マグロ。 一瞬軽く目を閉じ、すぐさま自分の目の前下に視線を移す。 マグロが寝ている。 ぽやぽやの猫ッ毛の金髪で、相変わらず黒い学ランを羽織った(脱げ!っと言ったから身体にかかっているだけかも知れない) 直立不動をそのまま倒した様に転がる マグロ――桐山。 暑さに弱い桐山は、此処に来ると同時に畳の床に倒れた。(ダイビング!?) それから全く動いていない。 転がったまま。(寝ていると思う) 多分起き上がったら、頬に畳の跡が付いているのは間違いないだろう。
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