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初めて気付いた現実。
夕日の沈みかけた用を成さない教室。
本当の意味も必要さも持たない形だけのブランドの財布。
教科書なんて入れた事も無い、机下のスペースに忘れて、取りに戻った。
本当は別になくなっても良かった。
ただ
奪われるのが嫌だった。
私のモノが他人のモノになるのが嫌だっただけ。
だから取りに戻った。
そして
初めて現実に気付いた。
教室の扉を開けて
前を見た瞬間。
貴方がいたの。
私と同じ目の
……『奪われた痛みを知る目』
私と同じ眼の
……『世界に神なんて存在しない事を知る眼』
私が知らない瞳の彼。
……『私が安らぎを覚える深い深い深遠の瞳』
「なんや相馬か」
一瞬の闇を貴方はすぐさま打ち消したわ。
他人に知られない様に。
他人に弱みを握られないように。
そして夕日に微かに張り付いた様な笑みを浮かべ、常用し続ける精神安定剤の様に咥えた煙草から紫煙を溜息代わりに漏らす。
「どないしたんや?」
心配を口ずさむ唇まで,私が知らない『本当の闇』を抱えた。
貴方は隠したつもりでしょうけど。
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