嫉妬/桐川

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「!?」 捨てられなかった。 気が付くと、桐山が紙を握り潰したまま閉めた手を、更に上から握っていた。 握って(プリンの器は床に置かれていた)、川田の手を開かせ紙を強奪した。 「お、おい!」 かなり小さくまとめられた紙を、川田以上に器用に開いていく。 そして 『好きです』 と先程と同じ文字が見えた瞬間。 桐山が固まった。(気がした。) 更に捲られる紙。 『電話ください』 それから電話番号と名前。 川田には桐山の身体が微かに震えている気がした。 「お…おい?」 まるで出来たての傷口に触れる様に、恐る恐る川田は桐山に声をかける。 途端。 ゴウッ!! 確かに桐山が殺気を放った。(無表情で) そして紙から視線を外すと、 「……誰?」 目を光らせた。 「ち、ちょいまちッ!何する気や!!」 桐山の只ならぬ気配に川田は慌てて静止に入った。 が、 その間にも桐山は、此処とぞばかりの発揮される観察力で、川田の周りを探る。 家出た…変わらない。 家帰る…変わった。 袋。プリン。お菓子。 見た…レシート? 「…コンビニ」 ぼそ…。と呟く。 そして桐山は、ビクッとその言葉に反応した川田を見た。 瞬間。頭の中に一人の人物(嫌いな人物リストにそいつは載っていた)が浮かぶ。
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