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私があの日貴方の瞳に安らぎを覚えた様に。
貴方が安らぎを覚える瞳を私はしているわ。
貴方と私はまるでアダムとイヴの様。
私は生きている。
貴方は生きている。
私は貴方の闇が知りたくてここに存在しているの?
貴方に会うとき貴方は
死んでるかしら?
生きてるかしら?
どちらでもいいわ。
ただ生きていれば私を抱いて?
私はその闇を抱く体に燃え貴方を癒すから。
ただ死んでいれば私に抱かれて?
私はその瞳に秘めたままの同色に体を癒されるから。
貴方は私と同じ神の子。
神の子?
瞬間。光子は『信じられない。』という風に目を見開き立ち止まった。
神の子?
もう一度同じ言葉を繰り返し……噴き出した。
今まで一度も……『神』なんて、
自分を救った事も無い偶像が胸中と言えども出てくるなんて。
余りの可笑しさに今度はお腹を抱え笑った。
敵が周りにいるかも知れない。自分の笑い声で気付き襲ってくるかも知れない。
それでも笑いは止まらなかった。
そしてしばらく笑った後、久し振りに本当に流した涙を人指し指の背で拭い、光子は背を伸ばした。
それから二、三度深呼吸を繰り返し歩き出す。
いいじゃない。
神の子。
悪くないわ。
ねえ。
「川田くん」
もう一度名を呼び、光子は微笑んだ。
END
*光ちゃん軽く電波受信
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