神の子/光川

6/6
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
私があの日貴方の瞳に安らぎを覚えた様に。 貴方が安らぎを覚える瞳を私はしているわ。 貴方と私はまるでアダムとイヴの様。 私は生きている。 貴方は生きている。 私は貴方の闇が知りたくてここに存在しているの? 貴方に会うとき貴方は 死んでるかしら? 生きてるかしら? どちらでもいいわ。 ただ生きていれば私を抱いて? 私はその闇を抱く体に燃え貴方を癒すから。 ただ死んでいれば私に抱かれて? 私はその瞳に秘めたままの同色に体を癒されるから。 貴方は私と同じ神の子。 神の子? 瞬間。光子は『信じられない。』という風に目を見開き立ち止まった。 神の子? もう一度同じ言葉を繰り返し……噴き出した。 今まで一度も……『神』なんて、 自分を救った事も無い偶像が胸中と言えども出てくるなんて。 余りの可笑しさに今度はお腹を抱え笑った。 敵が周りにいるかも知れない。自分の笑い声で気付き襲ってくるかも知れない。 それでも笑いは止まらなかった。 そしてしばらく笑った後、久し振りに本当に流した涙を人指し指の背で拭い、光子は背を伸ばした。 それから二、三度深呼吸を繰り返し歩き出す。 いいじゃない。 神の子。 悪くないわ。 ねえ。 「川田くん」 もう一度名を呼び、光子は微笑んだ。 END *光ちゃん軽く電波受信
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!