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聖戦から五年後
戦争により街と人の心は疲弊しきっていたのだったが復興した今ではそんな状態があったことを微塵も感じさせられなかった。
そして今ではよく見かけられる光景となった少年達の爽やかな日常の事だ。
??「ふぁ~……眠い」
人々が行き交う中にぼさぼさの黒い髪に眼鏡をかけた冴えない顔の少年がいた。
??「もぅ、慶ちゃんったら今日も遅いじゃない!!」
少年の気が緩んでいたところに背後から少し怒っているような声がかけられた。
怒られた彼の今の名は新井慶司
魔法学校の高等科の一年だ。
そんな慶司に声をかけたのは彼の幼馴染でいわゆる美少女の部類に入るであろう黒いショートカットをした少女だった。
慶司「あぁ、おはようございます恵……すいません、今日も起きられませんでした」
振り向くと腰に手を当てちょっと機嫌が悪そうな雰囲気を出している少女が立っていた。
恵「まったく、早く来てくれないと私まで遅刻しちゃうじゃない」
慶司が近付くと腕を組み少しキツイ視線を送りながら文句を垂れる。
慶司「そうですね、明日から善処します。
それと毎日わざわざ待っていてくれてありがとうございます。恵」
恵に文句を言われても顔をしかめる事なく自分の非を認め謝罪をし、その後に日頃お世話になっていることへ感謝を述べる。
恵「(お礼言われちゃった//)ったくもう~、それより早く行かないと学校に遅刻するよ」
お礼を言われ照れ臭いのをごまかすため強引に話しを終わらせると逃げる様に学園へと歩き始める。
慶司「そうですね、では行きましょうか」
恵の不自然な行動に触れることはなく自然と隣に立つ。
恵「うん//」
そういうと二人は話しながら一緒に学園へと歩きだした。
慶司(平和だな~、俺がギルドで魔物と戦っていた時には考えられなかったな)
空を見ながら思いを馳せる慶司の目は哀愁を帯びていた。
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