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家を出てから30分
目的の場所に着いた。
『雄ちゃ~ん!速く速くぅ~』
『待てって!荷物重いんだよ;』
何が入っているのか、やたら重い荷物を持たされテンションがイマイチ上らない雄太とは逆に桜華は子供の様にはしゃいでいる。
『雄ちゃん力無いなぁ~そんなんじゃモテないよ?』
桜華はクスクスと笑いながら雄太をからかう。
『あ?そのモテないであろう男と付き合ってるのは何処のどいつだ?』
『私は特別なの!雄ちゃんの情けないとこも含めて全部が好きなんだもん♪』
『そら、どーも』
『でも…雄ちゃん』
さっきまで笑顔で走り回っていた桜華は不意に立ち止まり寂しそうな顔で雄太を見る…
『どうした?』
『私がね…この世の全てじゃないんだよ?』
思い詰めた様な顔で桜華が雄太に言う
『お前…何言って…』
『あっ…ご、ごめんね、変な事言って気にしないで』
桜華はそう言って優しく笑った。
『雄ちゃん美味しい?』
『あぁ、美味い』
『良かったぁ~』
桜の木下に座り、桜華の作った弁当を食べながら、雄太はさっき桜華が言った『私がこの世の全てじゃない』と言う言葉の意味を考えていた。
桜華には気にするなと言われたが、あんな事言われて気にならない訳がない。
そんな事を考えていたら、急に桜華が問掛けてきた…
『雄ちゃん…この桜は、いつ頃散り始めるのかな?』
『ん~どうなんだろうな?』
『この桜が…いつまでもこのままなら良いのに…』
『どうしたんだ?気分でも悪いか?』
気分でも悪いのか桜華は明かに来た時の元気がない。
『…大丈夫だよ、でも…今日は帰ろうか』
美しく咲き誇る桜を寂しそうに見上げながら桜華は言った。
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