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「…ハァ…ハァ…」
綺麗な月明かりが差し込む静かな夜の校舎内に、不釣り合いなほどの女の荒れた息ずかいと乱れた足音が響く。
その女はしきりに周りをキョロキョロしながら足を止めることなく走り続けている。
何者かに追われているように…―
その女は、目の前の角を右に曲がり階段を上がろうとする…
「…きゃあああぁぁぁー!!」
女が階段を駆け上がろうと、階段の踊り場に目をやると…そこには…
綺麗なスーツを身に纏い、血だらけの斧を持って、薄笑いを浮かべている不気味な男が一人立っていた…。
「おい…なんで逃げるんだよぉ~ 水山ぁ~」
追いかけられている女はどうやら水山というようだ。
気味悪い棒読みのセリフに込められた悪意がヒシヒシと感じられる。
そして、斧を引きずりながらゆっくりと階段を一歩一歩降りてくる。
その度にガス…ガス…っと斧の不快な音が耳に伝わる。
水山は恐怖で腰を抜かし逃げることが出来ないようで…必死にその体制のまま後ずさる。
「…こないで!こないで!お願い!殺さないでーー」
水山は、哀願しながら絶叫する。
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