🌸🍒短編小説集🍒🌸

Ｏｖｅｒ

「貴方死んでますよ」
突然の声に老人は振り替える。そこには幼げな少女がたっていた。歳は１２、３くらいに見えるだろう。
「年齢は１６です」
脈絡も無い言葉を言うと、少女は無表情でポケットから名刺を取出し老人に見せる。
「成仏させる会・会員003・杉並麻弥」
あまりにも安直なネーミングに老人はコメントできず、ただただ相手の言葉を待つ。
「って訳なんです。」
無表情で詰め寄られ、老人はたじろぐ。当たり前だが。
「あ、あさやさん…？」
「‘まや’です」
少女は指を額にあてた。 「旅立ち給え」
一言そう言うと老人の姿はもうどこにも無かった。乾いた不思議な感覚のみが、その場を包む。
「鈴木さん完了」
まるで患者を見た後の医者の様に呟くと手帳にペンで線を引く。その瞬間名前が消え、少女は手帳を閉じた。