一学期の終わりは全ての始まり

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「優奈、俺と別れてくれ」 なんですと? 言われた台詞の意味が頭に入って来るまでに、たっぷり三分はかかった。まるでカップラーメン。出来上がるまでお待ち下さい。 ……てか、昨日まで普通だったのに何故? 私振られるような何か、やったっけ? 「……えーと、何で?」 「他に好きな子ができたんだ」 「そーですか……」 我ながら、何てマヌケな返事だろう。それだけショックだったんだと思うけど、それに気がつけたのは、結構後のこと。 ホントに唐突過ぎて、頭の中ではクエスチョンマークが踊る。 しかし、見事に混乱中の私の頭が、最大の疑問を口に出させた。 「……誰?」 聞かなきゃいいのに尋ねてしまった私に、彼はさらりと答える。 「三組の佐伯さん」 「……あー、あの学年一の美人………」 確かに、男子共が騒ぐだけあって綺麗な子だ。由緒正しい日本美人て感じの。 因みに頭も良くて、テスト順位表の上位の常連。 「彼女、俺が好きだって言ってたらしいんだ」 彼はまんざらでもなさそうな顔である。そりゃあ美少女に好かれて嫌がる男なんて滅多にいるまい。 「そっか、それならしょうがないよね……って、ちょっと待て」 頷きかけて、はたと気付く。 らしい? 何だ、その仮定型。 ――まさかとは思うけど……。 「……因みに、それ、誰に聞いたの?」 恐る恐るに尋ねると、彼は無駄に胸を張って答えた。 「俺の友達の裕太の彼女の友達の彼氏の妹」 何てお約束かつ突っ込みどころ満載の返答なんだろう。噂どころか、ガセ以外の何だと言うのか。 ピクピクと動いてしまうこめかみを押さえながら、必死に冷静さを保とうとして、私は更に質問する。 「……要するに、アンタはその信憑性のない、誰が言ったかもよくわからない話を信じて、私を振って、佐伯さんに乗り換えようってわけ……?」 私の問いに彼は「人聞き悪いことを言うなよ」と眉を寄せた。 「俺はちゃんと佐伯さんを好きになったから、今の彼女の優奈を捨てるだけだ」 「ほとんど同じでしょーが!!」
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