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結構長かった。
確かにママが前置きするわけだよ。
「……何となくわかったけど、ママ。途中から口調変わってなかった?」
「子どもの時に受けた講義思い出しちゃった。その時の先生がこんなふうにゆってたなーって」
懐かしいと呟くママの心はその頃にタイムスリップ中。
取り残された私は話の整理に努めることにする。
「そう言えばシューさん」
同じく取り残されているシューさんに喋り掛ければ、にこやかに応対してくれた。
「何でしょう?」
「ママって代理人なんですよね?」
さっき謁見の間でも言ってたし。
「ええ」
シューさんはあっさりと肯定する。
「それって凄いことなんですか?」
「凄いことですよ。何せ適合者の次に地位のある立場ですからね。事実上、次代の王の地位を手にしたと公言してはばかられない。それで現王陛下以下、一部を除いた貴族達が、ロジーのご機嫌取り、ないしは他の適合者・代理人を探して、鍵を取り上げようと必死なんですよ」
「次の王様……?」
「ええ、王家嫡子の人々ではなく、庶子のロジーがです。大抵の場合、姫君が婚姻を結ばれた相手の家に属する為、王位継承権の順位は低くなるものですが、代理人という地位と、異世界の方と結婚した為に、ロジーは第二位ですから」
ゆるゆると猫ヒゲを揺らしつつ、我がことのように話すシューさんは、心なしか得意げに見えた。
流石に私でも、事態の大きさが把握出来てきたぞ。
……だけど、何か、すごく気になる発言なかった?
「……庶子?」
シューさんがしまったと口を押さえた。
庶子って確か、……奥さんじゃない人との子どものことだよね……?
物言いたげな私の視線から目を逸らし、シューさんは頭を緩く振った。
「私は余計なことを教えてしまったようだな……詳しいことはロジーに聞いて欲しい。……とにかく、まあ、今まで前例がありませんでした」
また一つママの秘密を知ってしまった。
……この話は、聞かなかったことにしとこう。ママの口から、直接聞くまでは。
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