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「レイナちゃん、これからどうする?」
思い出の旅から戻ったママが前振りもなく尋ねる。
「どうする、とは?」
「ママ、最初の目的終わっちゃったし、長く居たってヤな人いっぱいいるし」
帰っちゃう?と瞳が私に訴えかけていた。
ヤな人いっぱいは同感かもしれない。あの王様とか王様とか王様とか。
けど、いつでも帰れるなら、もう少しここを見て回りたい気もする。
ママにとってあんまりいい思い出のない故郷でも、私には珍しい不思議な国だから。
「ロジー、どうせ帰るなら『花冠祭』が終わってからでもいいんじゃないか?」
タイミング良く、シューさんがママの引き止めにかかった。
三年に一度なんだからと言って、私の方にウィンク。
どうやら私が悩んでたのを見透かしてたっぽい。さすがは年の功(って言うのは失礼かな?)…。
「あらもうそんな年?……『花冠祭』はお祭りなの。とても賑やかで楽しいのよ」
珍しく私が言い出すより先に、ママが口を開いた。
心なしか口調が浮かれてるみたい。
「お祭りかぁ……」
「お祭りなのよねー……」
ちなみに、ママと私のセリフはほとんど同時、いや、ハモってた。
顔は全く似てないけど、性格は似てるって、よく誰かしらに言われるのは……やっぱり、こういうところで、同じテンションになるからなんだろうな。
「……もうっ、シューの計略にハマったみたいで剛腹だけど、もう少しここに居ることにするわね」
シューさんグッジョブ。
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