出会い・そして運命

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なんだかんだで私達は、今日から花冠祭が終わるまでを含めた九日間、このレアリーフェイドに滞在することを決めた。 ママやシューさん曰わく、「アルラン大陸最大の祭り」らしい。 大陸の隅々から沢山の人がこの祭りのために首都であるここ、『ロシュナンド』に集まって来るのだそうだ。 翌日、私にあてがわれた部屋から出て、別邸の中を見学がてらぶらぶらしてたら、バルコニーのところで昨日ママを呼びに来て、ブリザードに凍らされかけたウサギの人に出会った。 ルーク・ヤシュカというらしい。最初はしきりに恐縮してたんだけど、もともと人懐っこい性格らしくて、すぐ普通に喋ってくれるようになった。 年は私より2こ上。 呼び捨てするのはちょっと気がひけたので、ルー君って呼ぶことにした。 「地方の珍しい品物や、料理などの屋台が並ぶんで、俺らも楽しみにしてるんですよ」 ルー君は、楽しみでしょうがないらしい。口調からもにじみ出ていた。 「ねぇ、ルー君のお勧めの食べ物って何? 私、あんまりこの国に詳しくないから教えて」 「レイナ様の為なら喜んで! 俺のオススメは『レノンのケーキ』ですよ!」 レノンについて尋ねたら、どうやら柑橘系の果物らしいということが判明した。ひょっとしたら、レモンと似ているのかもしれない。 こっちでも『ケーキ』は『ケーキ』なのがちょっと面白かった。 「大陸一の焼き菓子職人が、祭りの為だけに、辺境にある自分の店から出て来るんです。偏屈なオヤジで、どんなに客が来たって一日に二百個しか作らないんですよ? 例え国王陛下であろうとも、並ばないと買えたもんじゃない」 「王様でもなの?」 「そうなんです! 以前陛下がお召し上がりになるからとそのオヤジに使いをやったら『王様の使いだからって列に横入りするんじゃねぇ!! 食いたかったら自分で買いに来い!』と使者を追い返したそうです」 「あはは、それ本当の話?」 ルー君は他にもお勧めの食べ物を、非常に熱っぽく語る。 結構食いしん坊みたい。
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