出会い・そして運命

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「隊長ひどいッス……」 頭をさすりながら、ルー君は自分の本当の持ち場へ帰って行った。 「あいつのサボリ癖は役に立つことも多いので、この位で済ましてはやるのですけれどね」 他の者ならもう故郷に送り返しているところだと、溜め息混じりシューさんが零した。 「……しかしレイナ様、お部屋の方にいらっしゃらないので心配しましたよ」 私は素直に謝罪の言葉を口にする。 「あそこじゃ落ち着かなくて……小間使いさんやら護衛だなんだってやたら人は増えるし、手のひら返したように王様からプレゼント届くし……」 おまけに護衛の人達が、私のことを珍獣みたいにじろじろ見るから、ストレス溜まりそう。 本当なら今頃は、近所の道場に行って竹刀振ってるはずなのに、という感覚が拭えない。 そして何よりも、そろそろ屋台やら出始めてるらしい(ルー君情報)のに外出許可すら下りない。 「ぶっちゃけ、めんどくさい……と?」 真面目くさった表情でシューさんが私に尋ねる。 「そうなんです……ってシューさん、誰からそんな言葉聞いたの!?」 短い付き合いでもわかるほど、スッゴく紳士的なシューさんが、そういった崩した喋り方すると、違和感バリバリなんですけど! 「いえ、ロジーがそんなことを言っていたもので」 ママ……シューさんにあんまりくだけた言葉を教えないで。キャラに合わない感じだよ。 「それに彼らは、貴女があまりに美しいので見てしまうのですよ」 シューさんはフォローのつもりらしい。私にしたら、それって全然嬉しくないんだけど。 「それはともかく、外に行っちゃダメ?」 「それは……」 シューさんを困らせたいわけじゃないけど、こう大人しくしてるだけじゃ、体力余ってどうしようもないんだよね。 「ならせめて、運動出来る場所ないですか」 「運動……ですか?騎士の鍛錬場ならありますが……レイナ様がいらっしゃるような所ではありませんよ」 聞いた途端に、私は食いついていた。 「そこ連れて行って下さい!もう2日間も竹刀握ってないから、腕が鈍っちゃう」 「しない……?」 さすがに竹刀はわかんないか。 首を傾げてるシューさんに、簡単に説明。 「え~っと竹……木で出来た剣かな。私剣道……剣術習ってるの」
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