小さな村の探求者

9/11
前へ
/52ページ
次へ
それから五日後の朝、街へと出発するための準備を着々と進めるビートの姿があった。 大きな風呂敷の上に、レイヴァンが狩ったモンスターの素材や 村で採れた野菜、村の近くの雪山で採れた鉱石などを並べている。 「…なんか、すまんな。 元気になって早々 働かせて…。」 レイヴァンが申し訳なさそうに言う。 「気にするな。 命を助けてくれたお礼だ。 ……おっと。 そういえば、俺の持ち物とかって どこにしまってる?」 「ああ。 地下室にしまっている。 玄関の横のドアを開けたところにある階段から行けるぞ。」 「わかった。」 ビートは一刻も早く 自分の武具の様子を見たい一心で、足早に地下室へ向かった。 しかし 地下室に着くと、ビートはとんでもないことに気づき、すぐにレイヴァンのところに戻って来た。 「レイヴァン! 俺の武器 知らないか?」 「武器? …そういえば、お前を見つけたときには 見なかったが…」 「何だって!!?」 ビートは絶望的な気分になった。 その武器を作るために、どれだけの労力を費やしたか、どのくらいの金を使ったか。 それに その武器は、とても大切な 思い出の品でもあった。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加