赤い狩人、青い狩人

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「………は? 空き家?」 青年は こくり と頷く。 「その、クロース村に興味が湧きました。 是非とも、その村へ招待していただけませんか?」 ビートは正直、こんなに簡単に事がうまくいくとは思わなかった。 「…なんでまた…」 尋ねようとしたビートを制し、誰かが盗み聞きをしていないか確認し、ビートの耳元でささやいた。 「…この素材…、貴方は これが何の素材か、知っていますよね?」 「…いいや、知らない。」 同じようにささやき、応えたビートだったが、その応えを聞いて少し驚いたような顔をし、青年は続けた。 「…これは……私が間違っていなければ、とある『古龍種』のモンスターの鱗です。」 「な、何…っ」 大声を出しそうになり、慌てて口を押さえるビート。 古龍種とは、通常の生態系から大きく外れ、強大な力を持った、未だに謎の多いモンスターの総称である。 個体数が極端に少ないため、遭遇することは滅多にない。 ビート自身も、見たことは一度しかなかった。
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