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職業が職業なだけに、生き物の鳴き声には敏感なレイヴァンは、それが聞こえた方へと駆け出した。
………
防具同士が擦れてカチャカチャと音を立てるのを聞きながら、鳴き声が聞こえて来た場所へと走る。
岩の壁に挟まれた細い道を通り、雪山の麓へと続く道がある方を向くと、鳴き声の主が姿を現した。
青とも緑ともとれる色をした大きなトサカ、鋭い爪や牙、白い鱗…。
二足歩行の鳥竜種、ドスギアノスと呼ばれる生き物が、そこにいた。
この辺にも雪崩の被害があったらしく、丁度レイヴァンの目の前一帯が、近くの雪山から流れてきた大量の雪に覆われていた。
それの上に、ドスギアノスがいた。
何やら赤いものが地面から突き出ているのを、黄色い嘴のようなものに付いている鼻で臭いを嗅ぎ、正体を確かめようとしている。
(…ドスギアノスが興味を示しているということは……、血の臭いでもするのか…?
……ん?…あれは……人の手……!?)
気付くが早いか、レイヴァンは 隠れていた岩陰から飛び出した。
(…まだ生きているのであれば、早く助けなければ…。
…雪に埋まったままでは、凍え死んでしまう…!)
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