プロローグ

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突っ込んで来るレイヴァンに気付いたドスギアノスは、高らかに吠えた。 しかしその後、攻撃に転じる隙もなく、ドスギアノスは胸部を紫色をした槍で突かれ、痛みにのけ反る。 「ふんっ、はっ!」 長い槍を器用に操り、ドスギアノスを突いていくレイヴァン。 ドスギアノスはというと、槍で突かれるごとに鱗がボロボロになり、出血していた。 勝てないということがわかったのか、傷を癒すためか、ドスギアノスはスキを見て 雪山の麓の方へと一目散に逃げて行った。 雪原に、紅く不規則な破線を残して行きながら。 ドスギアノスが逃走するやいなや、レイヴァンは雪原から飛び出た紅い何かを調べた。 (…やはり、人の手だ!) 出血のせいで紅くなっていた手。 脈を測ると、微かだが鼓動を感じることができた。 (早く助けねば!) 槍と、左腕に装着された盾を放り出し、無我夢中で 何者かの手の周りの雪を掘る。 否、排除する。 余りの寒さに指が冷え、思うように動かなくなってきても、それでも手を止めようともしない。 そして彼は、解氷剤やホットドリンクを使いながら、数十分費やし、 紅く、奇妙な格好をした一人の男を、雪の中から救助した。
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