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…暖かい…。
彼はそう感じた。
まるで、中で火が踊る暖炉の前で、毛布にくるまって寝ているようだ。
ゆっくりと目を開く。
最初に見えたのは、木目のある天井。
目を右に向けると、囲炉裏の中で炎が燃えているのが見えた。
左を見ると、壁があった。
(…ここは…、どこだ…?)
周りをもっと見るべく、毛布をかけられた体を起こそうとした彼は、身体中に激痛が走るのを感じた。
「!! っつ……あっがはぁぁあっ!!?」
苦痛にもがき 苦しんでいると、どこからか声がした。
「…やっと目が覚めたか…?」
ドアを開けて部屋に入ってきたのは、短い黒髪の青年(二十歳くらいか)だった。
暖かそうな、寝間着のようなものを着て、右手には木製のカップ、左手にはポットを握っていた。
「…お前、ずっと 死んだように眠ってたから、もう死んだのかと思って 焦ったぞ…。」
青年は、苦痛に顔を歪める彼の傍らにあぐらをかき、手に持ったカップを下に起き、ポットから何かを注いだ。
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