小さな村の探求者

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「…とりあえず飲め。 少しは楽になるだろう…。」 差し出されたカップの中に注がれた液体が 透き通った緑色をしているのを確認すると、彼は寝ながら 器用にカップの中身を口の中に流しこんだ。 「……あんた、何者だ?」 ひとまず落ち着いた彼は、青年に問う。 「…俺の名は レイヴァン。 レイヴァン・ヴィガー だ。」 青年は彼の目を真っ直ぐ見据えながら答える。 「…ここは何処なんだ?」 飲んだばかりの薬が効いたために 身体中を駆け巡る痛みが和らいだ彼は、更に質問を続ける。 「……ここは、俺の家だ。」 「いや、そうじゃなくて……、 なんていう村か、または街か。」 「? ……ああ。 ここは雪山の麓に位置する小さな村、クロース村だ。」 「……………」 彼は、気を失う前の記憶をたどってみた。 ポッケ村の村長の依頼で 仲間と雪山を訪れ、依頼を達成し、帰ろうとしていた…。 ……そうだ…。 その時、地響きがしたかと思うと、大量の雪が 自分と仲間を巻き込み、そして……、 その後の記憶はなかった。
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