【11】再会

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  「恋人として、当然のことを言ったまでだよ」  その表情は、完全に私をからかっていた。  このやり取りが、本物になり得ないってわかっていながら、それでも、嬉しいという気持ちは自然に沸き上がった。  そんな気持ちとは裏腹に、実際に出てくるのは素直から程遠い、ひねくれた言葉。 「詐欺師になれるよ」  結井さんの顔が瞬時に引き攣る。 「罰ゲーム決定」 「えっ、嘘っ! 今のなし…っ! ごめんなさいっ、詐欺師なんて思ってない、ぜんっぜん思ってないっ!」 「本当かなぁ……?」 「本当だよ」  視線を逸らして言った後、恐る恐る振り返ると、しょうがないなって呆れた顔で結井さんは見つめていた。 「硝子工芸、見るんだろ」 「うん」  雅臣に会わなくても、”恋人ごっこ”の名目のもと、一時でも結井さんはあんなふうに私を見てくれただろうか。  姉にも同じことを言っているのだと思ったら、刺すように胸が傷んだ。  硝子工芸からはじまり、木工細工、シルバー細工の店をハシゴして、いつの間にか空は闇に染まろうとしていた。
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