【4】重症

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   あの日から数日、迷惑になるから送ってもらうのをやめようと切り出したら、現実を思い知った。 「南里はいいのよ。妹だもん。近い将来本当の妹になるんだもん、遠慮しないの」  その言葉の意味を理解したくなくて、笑ってごまかした。  息もできない苦しさが襲って、その後、何を話したか覚えていない。  いつか。  そればかりが巡って、姉に気づかれないように、想いを呑み込んだ。  闇に閉ざされた現実の中で、未来など見えない。 「南里、いつまでテキスト開いてんの」 「へ……? あ、うん……」  講義室の時計が、カチリと動いて十六時を告げる。  鐘の音を聞いてようやく思考が現実に戻った。ただっ広い室内を見渡して、呆れた顔で見下ろす親友を見上げて、何時間も同じことで悩んでいたことに気づいた。  ほんの十分考えていたつもりが、一日の四分の一を考え抜いていた。  答えは、出ない。  ノートは真っ白なまま、その角を黒い線が泳いでいた。
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