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「南里、ご飯食べていくでしょ」
「え、あー……」
「食え。ここ一ヶ月の間に何キロ痩せた!? 不健康な痩せ方は見るに堪えん。行くよ」
半強制的に腕を引かれて食堂に向かう。
「冬子、私、食欲な……」
「やつれるほどの悩みを抱えているからだろ。食欲なくても食う努力しろ」
軽くお説教くらってる間に食堂についてしまって、これ以上怒られるのが恐くて、食べられるだけ食べることにした。
言葉はきついけど、冬子はいつも気にかけてくれる。
深く干渉することもなく、言えるようになるまで待ってくれる。
券売機に列んで、冬子の肩に頭を預ける。
「冬子、私、重症だから」
「そんなの、見りゃわかる」
「すみません……」
「私に謝っても解決しないだろ。どうせ言える時期じゃないんだから、せめて体力つけろ。ぶっ倒れる前に言え。わかった?」
「……お母ちゃんっ!」
「だーれがお母ちゃんじゃっ! 欝陶しい、はなれろーっっ!」
素っ気ない冬子の優しさが嬉しい。
本当は、すごく甘えっ子なんだって思う瞬間。
小さな変化も見逃さない冬子の言葉に、泣きそうになった。
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