【4】重症

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  「冬子、大好き」 「女に告られても嬉しくない」 「素っ気なくても、好きだもん」 「はいはい……。ほら、バイトあるんでしょ。早くしないと遅刻するよ」 「うん」  本当は、バイトは休み。  一週間のうち、結井さんに会えない一日。  それが淋しくないと言ったら、嘘になる。  まだ、苦しさの方が勝っていて、顔を見ただけで泣いてしまいそうになるから。  だから、会えなくていい。  会えなくて…――。  冬子と別れて、目的もなしに街をぶらつく。  この間、雪が降ったのに、冬の影は息を潜め、穏やかな陽気が続いていた。  けれど、日毎冷えていく乾いた空気は、針のように頬を刺した。  その鋭い痛みが、心の傷みと重なる。  あの時、結井さんは何を思って私を抱き締めたんだろう。  同情?  友情?  愛情……?  そればかりが巡る。 「あれ、南里じゃん。一人?」  背後の声に鈍く振り返ると、同じバイト先の美和ちゃんがいた。
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