2179人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
「うん、真っすぐ家に帰るのも…って思って。美和ちゃんは、これから?」
「そうなんだけど、早く来過ぎちゃって。時間あるならさ、ちょっとつきあって」
「うん」
「マック行こうか。奢るよ。なんか食べた?」
「学食、寄ってきたんだ」
「そか。つきあわせちゃうし、飲み物だけでも選んで。ささやかなお礼だから」
人懐っこい笑顔を向けて、美和ちゃんは厚底ブーツを鳴らしながら大股で店内に入っていく。
「何にする?」
「ん…、アイスティー」
「オッケー。えっと……」
空いたカウンターで注文する美和ちゃんの声は店内に響き渡った。
「お待たせー」
窓際の席を陣取って、座ったと同時、二人して、ふぅと息をついた。
「いただきますね」
「あ、どぞどぞ」
「どもども」
笑い合って、窓の外に目を向けると、チラチラと雪が降り始めた。
「冬ですね、南里さん」
「えぇ、そうですね、美和さん」
美和ちゃんと話す時、いつもこんな感じのノリだけど、口調とは裏腹に、表情が緊張していて、顔を覗き込むと、美和ちゃんは手に持ったハンバーガーをトレイに戻して姿勢を正した。
最初のコメントを投稿しよう!