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ごちゃごちゃと色んなことを浮かべているうちに、会社まで来ていた。
「裏口?」
入口正面のドアの前の、裏口をご利用下さいという立て札を見下ろして、見取り図の矢印の方へ向かった。
裏口の重いドアを開けてすぐの所に守衛室があるけど、そこには誰もいなかった。
薄暗い廊下を進んでエレベータを待つ。
持ち直したビニール袋のカサつく音と、鼓動がやけに大きく響いた。
お礼、お礼、お礼……。
心の中で何度も呟いて、深呼吸した。
これは、裏切りなんかじゃない。
休みたい時間を割いて送ってくれる結井さんへの気持ち、だから……。
ゆっくりと息を吐くと、暗闇に光が差して、足音を立てないように進んだ。
ほんの些細なこと。
結井さんからしてみれば、小さなこと。
『10階の一番奥だから、いつでもおいで』
いつだったか送ってもらった時の言葉を思い出して、その数字を目で追った。
急に来たりして、迷惑じゃ…ないかな……。
そう思ったら、ボタンを押す指が震えた。
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