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お姫様みたいだった顔が、今はすっかり王子様みたいで。
私は胸がドキドキした。
「約束だ」
男の子がもう一度そう言うと、私のドキドキがまた大きくなる。
私は頷いて、続く言葉を待った。
男の子は一瞬恥ずかしそうに唇を噛んだけど、決心したように私まっすぐに見つめると、こう言った。
「“また会おう”これが約束だ」
「また、会おう?」
私は首を傾げる。
男の子は頷いた。
「貴様と僕は今、いつかまた会う約束をしたんだ」
「……? うん」
私は意味がわからなくてますます首を捻ってしまった。
男の子は溜め息をついて、私のほっぺを強めに挟み込んできた。
「つまりはこうだ。 僕と貴様がいつかまた会う約束をした。 と言うことは……」
「あ」
――わかった。
わかった瞬間、目からまたぽろぽろ涙がこぼれてくのを感じた。
雨に当たってるのに、体がじんわりあったかくなる。
「私は」
声が震えた。
「私は、いつかまたあなたに会うまで……壊れちゃいけないんだ」
確かめるように私が男の子のお月様みたいな目を見ると。
男の子はまたお姫様みたいに綺麗な笑顔で頷いていた。
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