ある雨の日

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私を黙って見下ろすお母さんを、私はいやだなと思ってしまった。 だってお母さん…… とっても怖い顔してるから。 「お母さ……」 「……あなたが」 お母さんがゆっくり私に両手を伸ばす。 「なんであなたが生きてるの……!?」 大好きな白い手が、私の首を力いっぱい掴んで、私は息苦しくなる。 「何で車にひかれたのがあなたじゃないの!?」 (お母さん。) 苦しいよ…… 声が出ない。 お母さんの手の力がどんどん強くなる。 「何で……」 私の顔にぴちゃん、と雨が降ってきた。 お母さんの目から、何度も。何度も。 「なんであなたが死ななかったの!!」 あぁ…… 悪いのは私なんだね? だからこれは、お仕置きなんだね? お母さん…… ごめんなさい。 お父さんを、壊して…… ごめんなさい。
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