ある雨の日

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泣いていいのはお母さんとお父さんだけ。 私は、泣いちゃいけないんだよ? 水たまりの中の私にそう優しく教えてあげてると。 「何を一人で喋っているのだ?」 いきなり後ろから、誰かが私の肩を叩いた。 私はびっくりして、本当にびっくりして。 必死に堪えてた涙をボロボロ零して、ゆっくりと振り返った。 私を見下ろしていた金色の目が、びっくりしたみたいに大きく見開かれたのがわかった。 「……貴様、泣いてたのか?」 ――それが、私とあの子の出会い。
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