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俺が帰ろうと鞄を持つと、義人はそれを拒むように大声を張り上げた。
「なんでだよ?もう最強の動物がわかったんだからいいじゃねぇか…。何が不満なんだウンコマン」
「ウンコマン言うな!!最強の動物の他に最弱の動物も知りたいんだよ!!」
また面倒くせぇことを言い始めたよコイツは…。
「知るかっ!アニ藤と語り合ってろ」
俺は義人にそう吐き捨てると、教室の扉に手を掛ける。
「説也、アンタ今日掃除当番でしょ。サボる気?」
すると、怒気を含んだ声で後ろから令美が話し掛けてきた。その両手には箒を持っている。
「いや、今日俺じゃねぇし。義人だし」
「嘘付くな!!俺、昨日やったよ!!」
「あからさまな嘘ついてんじゃないわよ!出席簿順でいくと、女子は私で男子はアンタなんだから言い逃れできないわよ!」
令美はすぐさま俺の腕を掴むと箒を無理矢理に持たせた。
「ちっ、わかったよやればいいんだろ…」
観念した俺は乱暴に箒で床を掃き始める。
「始めから素直にやりなさいよ…ったく」
呆れながら令美が呟く。
「終わったぞ」
俺はその辺を適当に掃いて、ものの十秒で掃除を終わらせた。
ン~、我ながらスピーディー。
「嘘つけコラ!!全部隅々まで掃いてないでしょうが!!」
「いいじゃねぇか面倒くせぇ。後はそこに寝てるゴリオとアニ藤と義人がやるとよ」
「いや、やらねーよ!?人に押しつけんなよ!!」
「そうだよ、説也君!当番は君だろ!」
「………………ウホ」
俺の言葉に各々反応する動物オタク達。(約一名は気絶中)
「わかったよ。義人、とりあえずトイレ行ってくるから箒持ってて」
「えっ、うん」
何も知らずに箒を持つ義人…。
かかったな。
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