疑惑の関係?

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「踏み込み甘いわよ、そんなんじゃディフェンスすぐに持たないわ!そこぉ!やたらときょろきょろしない!マークする人は自分の目で見極めなさい!」 体育館にボールの弾む音と琴乃の怒鳴り声が響く。バスケ部は今日は3年生と2年生でレギュラーになってるメンバーの紅白試合をしているのだ。 「前半15分終わり!試合はとりあえずここまでね…休憩したらパス練習するわよ!それと、1年生!あなた達は休憩の後は基礎練習よ、解散!」 笛を首に再びぶら下げると琴乃はつかつか部室へと入っていった。 「今日も容赦ないなぁ、飯塚先輩…機嫌悪いよな?」 「いつも怒ってるけど‥今日は特にな?バスケ部の実権握ってるってホントかな‥」 「嘘だろ、だってマネージャーってそんな役目じゃないはずだし…」 「でも実際部活仕切ってんのってキャプテンじゃなくないか?」 ボールを磨いたり、モップがけをしていた1年生達がざわつきだす。その中で一至はモップをいそいそかけながら黙っていた。何故なら琴乃がご機嫌ナナメの理由を知っているからだ。 「でも、この前入ってきた新しいマネージャーは正反対のタイプだよな?」 「ああ、あのほわっとしたリボンの長い子だろ?」 「同じ学年にあんな可愛い子がいたなんてなぁ…ちょっと役得だよな?」 「ああいうタイプは彼女にしたいなぁ‥」 『バキッ!』 思わず力が込もってしまいモップの端を折ってしまった。慌てて一至はモップを片付けて、これ以上話を聞かないように水飲み場へと逃げた。 「葉山さんどう?部誌は書けた?」 「あっ…今ちょうど終わった所です‥」 部室には姿勢よく座って仕事をする莉音がいた。ただしいつもの制服に髪を下ろして緩くリボンで結ったあの独特な姿はなく、リボンで2つにちゃんと結びジャージをしっかり着たマネージャーとしての姿だった。 「──1週間ね?」 「へっ?」 「マネージャーになってからもうすぐ1週間ねって言ったのよ」 「──あ…はい」 嬉しそうにこくんと頷いて莉音は微笑んだ。 「仕事も慣れてきたし‥そろそろ私と一緒にコートに来てもらおうと思うけど…どうかしら?」 「え?大丈夫、でしょうか‥?」 「大丈夫よ、みんなあなたにメロメロだから」 琴乃の言葉にきょとんとして首を傾げる莉音であった。
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