疑惑の関係?

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「──と、いうわけで葉山さんにコートで出来る仕事やってもらおうと思うのだけど…いいわよね、高村くん?」 「もちろんだとも♪可愛い女の子がコートにいるのは刺激になるしね?」 「あら、可愛い子なら2年前からずっと傍にいるでしょう?」 「見た目が可憐な薔薇でも中身がトゲトゲのいばらの持ち主なのがいるね~」 「高村くん、ランニング30周追加ね?」 「すいませんでした、琴乃姫?」 「姫とかおふざけは無しって言ったでしょう?」 休憩の間に部長に許可を取るために莉音と琴乃は部室に残って部長と話していた。部長である高村賢人(たかむらけんと)は一至の従兄弟なだけあって顔の雰囲気等がよく似ている。ただ、性格はあまり似てないようでどちらかと言えば硬派な一至に比べると賢人は軟派で結構軽いタイプだ。現に真面目の塊のような琴乃とはソリが合わないようで莉音の前で言い合いを披露していた。先程までは本題に入るまでもなかなか言い合いが止まらず莉音はただただ、苦笑いを浮かべるしかなかったのだった。 「さて、部長の許可ももらったし…早速説明するわね?」 「おいおい、彼女休憩無しだろ?ちょっとは休憩させてあげないと逃げられちゃうぞ?」 「彼女は前半15分は座って作業してたんだから休んでいたようなものでしょう?」 「こじつけはよくないなぁ、琴乃姫…後輩に嫌われるぞ?」 「大きなお世話よ、口だけ男」 (私はどうしたらいいのかなぁ…) まだ静かなケンカが続きそうで莉音は止める勇気のない自分に苦笑いして二人を見ていた。 「けん兄ぃ、ちょっと──あ」 「あら高梨くん…授業中は部活のルールを守ったクセに部活中は守らないの?」 「す、すいませんでした!飯塚先輩っ」 「もう‥今度からは気をつけてね?…1年生の代表さんがどうかしたの?」 「へっ?いや‥俺はけん兄ぃ──じゃなくて部長にちょっと相談があって…」 「部長なら今から葉山さんにコートの仕事説明するから後にしたら?何なら私が聞いてあげる」 そう言いながら強引に琴乃は部室に入ってきた一至をぐいぐいと引っ張っていく。いつの間にか出口まで戻され、一至は何が何だかさっぱりだった。 「せ、先輩?」 「じゃあ高村くん…ごゆっくり?」 『バタンッ!』 にっこり笑って言い放つと琴乃は一至を連れて部室を出ていった。
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