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「ば…バスケ部に‥?」
「そう、まあ‥バラしちゃうとけん兄ぃ──部長なんだけどな?」
「全然…そんな風には見えなかった‥よ?」
「ああ、まあ…端から見ると犬猿に見えるよな‥アレは。でもそれがあの二人のスタイルっていうか…コミュニケーションというか‥」
だんだんバツが悪そうに一至は歯切れの悪い口調になりだした。
「見ての通りけん兄ぃは軽いし、女大好きだし‥いい加減だし非常識なトコもあるし、まったくイイトコないんだけど…バスケだけなら真面目なんだよな。難しい技とかも出来るしパワーもスピードもあるから得点王になれちゃうし──バスケならあの人は俺の憧れであって‥師匠でもある。俺を市内のバスケクラブに誘ったのもあの人だったしね?」
「じゃあ高梨くん‥バスケ…かなり長くやってるんだね?」
「まあな?多分8年位はやってるぞ?──って俺の話はまた機会がある時にな?で、まあバスケは好きな事だからかもしんないけど‥すっげぇ真剣なんだよな、チームを盛り上げるにしろ何にしろ。リーダーシップもスゴいし、何より頭の回転早いから機転が凄く効くんだ」
「素敵な人だね、部長さん‥」
よほど自慢なのか瞳をキラキラさせて一至は語る。だがだんだん表情が暗くなりだした。
「まあ、な‥飯塚先輩はけん兄ぃのそういう“真剣な所”とかに惹かれたみたいでさ…中2の夏くらいから付き合い始めたんだって」
「じゃあ…結構長いね?」
「まあな?でも見ての通り…ウチのバスケ部って割と厳しい部活だろ?休みも少ないから恋人らしい事とかあんまりした事ないんだって。だから日頃から飯塚先輩はなんていうか…イライラしてたみたいで、さ?」
流暢に話す一至にふと莉音はん?と首を傾げた。
「どうして高梨くん、そんなに詳しいの…?」
「それは──俺が二人の相談受ける役だったから」
「相談?」
「そう…まあめったにけん兄ぃはしてこなかったけど‥真面目で堅実な飯塚先輩は結構悩んでたみたいでさ…けん兄ぃとはクラスも違うみたいで、いつも“私以外の子と知らない間に仲良くなってたらどうしよう”って言ってた。あの人ヘンな所で意地っ張りだからさ、ワガママとか素直に言えないみたいで。まあけん兄ぃにはバレてたっぽいけど」
「へー…?」
そういえば部室でのケンカ(?)の時に賢人は言っていた気がする。
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