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ご丁寧に筆文字で書かれた手紙の裏には、封筒が貼りつけられていて、真実は嫌な予感がしながらもその中身を取り出した。
最愛の娘へ。
単身赴任で2年ほど留守にするわ。
娘よ、新居で甘い生活をエンジョイしたまえ。
とりあえず、ココに荷物届いてるか見に行ってね。
じゃ、しばしの別れダ!
詳細のないたったこれだけの手紙と地図を握り締めて、真実はその場に崩れた。
どこを探しても、理由も告げずにこんなことをする親は一人しかいないと、真実は母親の性格を理解していたにも関わらず、まんまと嵌められて悔しさを通り越して無気力になった。
詳しいことは、荷物が届けられたらしい場所に行かなければ何もわからないということだけだ。
『アズマさんて、誰』
ガランとした部屋の中で呟いても、答える者なんかいない…――。
走馬灯のごとき勢いで今日一日の出来事を振り返って、真実はさっきよりも長く深い溜め息をついた。
陽はすっかり沈み、辺りは静寂に包まれていた。
友達の家に逃げ込む事も考えたけれど、二年もの間なんて、そんな図々しいこと、いくら仲が良くても頼めない。
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