【口が裂けても言えない】

3/4
490人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
   さて、どうしよう。  どうしてくれよう…!  この状況…ていうか、この態勢!!  真実は心の中で叫んだ。  簡単に説明しよう。  迫られてます。  それはもう火を見るより明らかな程。  問題です。  大問題です。  二人、教師と生徒の間柄。  見つかろうものならば、ただでは済みません。  此処は音楽準備室。  準備室といえど、最上階校舎の一番奥、防音の施された室内で声を張り上げても誰も気づかない。 「ちょっ…な、なん……」  言いたいことが山ほどあるのに、言葉にならない。 「相変わらずいい反応してくれるよね、真実ちゃんてば」  軽く密着した身体をさらに寄せて耳元で囁く変態教師…いやいや、2年A組担任、東 直人(アヅマ ナオト)は、バレたらヤバイ、なんて焦りなど微塵も出さずに、動揺しまくった真実の反応を楽しんでいた。 「こっ…こ、こ、がっ…こう……!」 「知ってる」  直人は満面の笑みで答えて、真実の頬を撫でた。  はっきり言って、教師失格行為です。 「知っ……!」
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!