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真実の反論の声は、耳たぶを甘噛みされて喉の奥に消えた。
暴れようにも、目の前の事態に頭がついていかず、動ける訳もなく。
「まだ慣れない?」
言いながら、直人は真っ赤になった真実の顔を覗き込んだ。
(セクハラ教師!! 変態っ…!)
声を大にして言いたいのですが、パニックの真っ最中なので、心の中でしか叫べません。
潤んだ瞳が教師の仮面を被った男を見上げる。
「はぁ~……」
深い溜め息をついて、直人はうなだれる。
「真実ちゃん、そういう反応は、男の本能を煽るって、昨日、教えてあげたばっかでしょ。もー……」
ま、そこが可愛いんだけど、というのは心の中だけに留めて、直人は真実を引き寄せた。
まだ口に出すことはできない。
校内でセクハラ行為をはたらくのには、深ー…い訳がある。
セクハラに深いも浅いもないが、とにかく、深いのだ…――。
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