42人が本棚に入れています
本棚に追加
朝の光が枕元を照らす。
私はこの朝の光でいつも目を覚ます。
その後で遅れた様にめざましが鳴った。
大きく背伸びをして、洗面台に向かう。
鏡の前でいつも笑顔の練習をする。
それが仕事を始めてからいつの間にか日課になっていた。
洗顔と歯磨きを終えた私は、髪を整え、大好きなホットレモンティーを口にする。
一息ついた私は軽くメイクをして、着替えた。
仕事上、濃いメイクは出来ないので、休みの日以外は薄い。
準備が出来た私はゆっくりと朝食を楽しむ。
携帯を手に取り、一ヶ月前に出会い系サイトで知り合った『優君』にメールをする。
同僚の子から、教えてもらい、こんな事はしないと思っていた私だったけどサブアドでいいからと一度だけ、投稿した。
その時に気になるメールがあった。
「掲示板見たよ!
つか、出会い系に投稿する君も君に返事をする。
俺もどんだけ暇人間だよ!みたいな」
別にどうって事ない、メールだけど、私は思わず笑ってしまった。
それから、メールの関係が続くようになった。
今はサブアドは使わないで直接やりとりしている
朝食を終えた私は、窓を確認し、電話を留守電にしてから、家を出た。
バスで通う私はいつも通る、この並木通りがすごく好き、春には桜が満開で心が嬉しくなる。
その春までもう少し、そう思いながら、バス停に向かう。
バス停に着き、バスを待っていると、不意に後ろから私を呼ぶ声がする。
「佐伯先生~~。」
振り向くと、私が勤務する保育園のお子さんのお母さんだった。
「由衣ちゃんのお母さん。
おはようございます。」
「おはようございます。」
私と由衣ちゃんのお母さんは笑顔であいさつを交わす。
「こんな所で会うの珍しいですね。」
「今日は昨日から会社で泊まり込みで仕事してて、今から帰る所なのよ。
由衣はうちの旦那が休みだから、お願いしたけどね。」
泊まり込みで大変だなと思いながら、話を聞いていた。
「今から、帰りって大変ですね。」
「そうね~。
でも、自分で選んだ道だから。
そういえば。佐伯先生、この辺だったんですね。」
「そうです。
並木通りが気に入って。」
最初のコメントを投稿しよう!