第三章

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息が荒い。 なんか吐きそうだ、さすがに全力疾走することはなかったか 俺は自分に苦笑してみたが気分は晴れない。 それもこれも、全部あいつ等のせいだ 「ちょっと休憩ー」 「馬鹿咲早く入るぞ」 俺は咲の頭を叩き、教会の扉に手をかけた。その手は情けなくも震えていた ギシリと音が響く。扉は開いたが、俺は立ち止まったままだった 咲が俺の肩をたたき不思議そうに教会の扉の向こうを覗いた。 「な、ん・・・だ、よっこれ・・・」 教会なんて、呼べたもんじゃない。 血に染まった赤黒い壁。 白い部分なんて一カ所も残っていない。所々に死体が散らかっている、死体というか頭がない綺麗に切り取られている 服装はさまざまなところをみて鐘の音の原拠がここだと分かり駆けつけた、あいつ等がいうGAMEの参加者 そう俺達と同じ 咲はうっと声を漏らし口と鼻を押さえた。異臭がきつすぎる。 「なんで、倒れてるんだよ・・・」 「トラップ、か?」 「トラップ・・・」 あいつ等は言っていた。 『トラップをしかけたからね』 GAMEを面白くするために、そう言っていた。 俺はゴクリと生唾を飲み込み扉を全開にし、一歩足を踏み入れた 「ちょ、永斗!」 「大丈夫だ」 そう言ってもう一歩足を踏み入れた。するとシュッと頬に一筋の線が入った 「永斗!?」 「動くなよ咲」 冷静になれ、俺 俺は立ち止まり転がった死体に目を向ける。 鋭いもので刈り取られたような、そんな切られ方。人間にんなこと出来るのか? 俺はゆっくりと手を上に上げてみる、するとぷつりと指から血が滲んできた 「咲、そこらへんに何か硬いもんないか」 「か、硬い・・・もん?」 俺は制服のブレザーを脱ぎ、投げた。バサリとただの布と成り下がったブレザーを見る咲の目を丸く見開かれていた。 「ワイヤーに切られないくらいの」 俺は教会の電気のスイッチに今度はブレザーのポケットにさしてあったペンを投げつけた。カチリとペンはスイッチに当たり、教会内の証明が全て切れた。 するとピンと張ったきらりと光るワイヤーが幾つもの張り巡らされていた。 「こんな状態じゃヒントを見るのは無理じゃないか?」 「そうかもな」 「どうすんだよ永斗」 俺は一度外に出て教会の周りを見渡した。 そして裏にまるでどうぞ入ってください、とでもいいたげなほど不自然に小さな扉が半開きになっていた。
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