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そう遠くない昔、小高い丘に、細くて少し変わった道がありました。
その道は木で出来ていて、歯車で動いていました。
『カタコトコットン、カタコトコットン』
という音を響かせて動きました。
だから人は、カラクリの道と呼んでいました。
人がカラクリの道を歩こうとすると、
勝手に道が動くのです。
『僕が動くからいいよ。
僕の上で休んでて。』
道はそう言いたいかのように、
『カタコトコットン、カタコトコットン』
と、音を響かせます。
そして、自分の目的地につくと、道は止まるのでした。
人々はその便利さから、
移動はいつもカラクリの道を使いました。
カラクリの道はいつだって、
『カタコトコットン、カタコトコットン』
と音を響かせていたのに、
いつからでしょう、
『ガダゴトガッコン、ガダゴトガッコン』
と、鳴らすようになりました。
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