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扉の隙間から玄関の方を覗いて見てみると、そこには一人の女が立っていた。
背が高く、腰に届くくらい長い黒髪を結わずそのまま垂らしている。
細身でとても綺麗な人。
私はリビングから出た。
女は私の姿を見つけると、口の端だけを上げて不適に微笑んだ。
瞳は、不思議な力が使えるのではないかと錯覚させるような綺麗で妖艶な紫色。
吸い込まれそう…
『私に何の御用ですか?』
私は、女に訊ねた。
笑みを崩さぬまま、女は答える。
『……外で話さない?』
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