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「ナツ君は君の気持ちを代弁したんじゃないのか?」
「あれは単なる八つ当たりだ。なんせまだ餓鬼臭さが抜けてなくてな」
ゲンは笑って、肩をすくめる。
「習慣が違う、信じるものが違う、なら主義主張が食い違うのは当たり前だ。いちいち目くじら立てたって良いことねぇだろ。誰に何を言われたって、関係ないのさ。他人のために生きてるんじゃねぇからな」
「それは、そうだが……」
ポールは言い澱む。自分の息子ほどの年齢のこの男に、まるで諭されているような気分だった。
自分の常識を押し付けるな。
彼らはそう言うのだ。
確かに、村で生まれ村で生涯を終えるであろう己と、世界中を流浪しながら賊を狩る彼らとでは、生き方も死に方も違って当然なのかもしれない。
「色々と心配してもらうのはありがたいし嬉しい。俺だってこいつらがかわいいからな。みすみす死なせるような真似はしない」
ハフハフと芋を頬張っているタツの頭を、ゲンの大きな手が乱暴に撫でる。
食事の邪魔をされたタツはゲンに飛びかかったが、じゃれているようにしか見えない。顔は似ていないが、親子のようにも見える。
ナツの言葉を反芻する。もしかしたら、彼を酷く傷つけてしまったのかもしれなかった。
ゲンは、小さな身体を難なく押さえ込んだ。
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