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あれから数日後、酒場に向かうために外に出ると、雨の気配が、温く湿気た空気にじわりと染みつつあった。
賞金首の張り紙をレオン一行は見ていた。
「さーて、今日はどうすっかな」
彼等はお金を使いすぎてしまい、新たな賞金首で稼ぎにきていた。
「そうね。やっぱりこっちのギルド側の依頼のほうが報酬がいいから」
シエルのそんな話しを関係なしにすでにレオンは一枚の手配書を手に取っていた。
「うん、これにしよう」
レオンは持っている手配書を二人に見せた。
「……おい、報酬を見ろ。どう考えたって安いだろ」
レオンはカインの意見など、どうでもよさげに喋る。
「大甲虫ヘラクレスビードルだってよ。カッコよさそうじゃん」
何故かレオンの眼が星になって輝いている。
もはや、この依頼しか興味がなさそうなレオンの姿に渋々、
「はいはい。わかったよ。どうせ言ったって聞かないからな」
カインが折れたのを見てシエルもつぶやく。
「レオンのわがまま……」
言葉とは裏腹にシエルも興味がないわけではなかった。
「あんまり期待すんなよ。こういうのは案外たいしたことないことが多いからな」
カインの経験上は簡単かつ別に楽しみにするものではないと思っている。
「絶対今回は凄いって」
そういうモンスターが多いので、結果、報酬もたいしたことない。
だいたい、人間が悪さするほうがタチが悪い場合が多いのでギルド側はそちらに報酬金をかけるからだ。
彼等はとりあえず依頼主の所に行き、正確な生息地と依頼確認する事に出発した。
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