幸か不幸か。

5/8
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
邸宅には、誰もいないのか、 玄関ホールには一片の明かりも存在していなかった。   それにしても…デケェ。  「あ~、那倉さん。…もしかして、家に誰も――」 ギロッ   あ、今確実に死ねる。 視線が死線に変わってる。   「――何でもないです」   那倉さんは、僕から視線を外し、すたすたと歩いて行く。   どうしたらいいか分からず、とりあえず付いて行く僕。   (…家かコレ?広すぎだろ。)   しばらく歩いていると、彼女が立ち止まった。   「ここ、アタシの部屋。今、ちょっと準備してくるから、ここに居て。 …少しでも何かに触ったり、動かしたりしたら…」   「神に誓って何もしません」   えぇ、貴女に睨まれなくとも分かっております。 その殺気の篭った視線に勝る脅迫はありません。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!