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邸宅には、誰もいないのか、
玄関ホールには一片の明かりも存在していなかった。
それにしても…デケェ。
「あ~、那倉さん。…もしかして、家に誰も――」
ギロッ
あ、今確実に死ねる。
視線が死線に変わってる。
「――何でもないです」
那倉さんは、僕から視線を外し、すたすたと歩いて行く。
どうしたらいいか分からず、とりあえず付いて行く僕。
(…家かコレ?広すぎだろ。)
しばらく歩いていると、彼女が立ち止まった。
「ここ、アタシの部屋。今、ちょっと準備してくるから、ここに居て。
…少しでも何かに触ったり、動かしたりしたら…」
「神に誓って何もしません」
えぇ、貴女に睨まれなくとも分かっております。
その殺気の篭った視線に勝る脅迫はありません。
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