春の息吹

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桜の木が風に吹かれて揺れている。あと数日後にはこの蕾達も、淡くて…短い命を咲かせる事だろう。 龍彦は春の息吹を感じた。 「よぉ、一緒に帰ろうぜ」 「あっ、優ちゃん」 振り返ると平田優太の姿があった。 龍彦と優太は小学校からの付き合いで、家も近所ということもあり、暇な日はどちらかの家に遊びに行くということが多い。いわゆる腐れ縁ってやつだ。 帰り道で龍彦が優太に口を開いた。 「ねぇねぇ、ちょっと相談が…」 「え?俺に?…てか俺に相談とか、珍しいな。 で、なんだい?」 龍彦は、うつむいた表情でゆっくりと話を始める。
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