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「たっちゃんは楽器やらんのかい?」
「あぁ、優ちゃん。
楽器ね…やりたいのは山々だけど、お金がさ…」
帰り道を歩いていると優太が話し掛けてきた。
「なんかやりたい楽器とかあるの?」
「ん~…ベースか…ドラムかな。
でも…楽器はいいや…」
「…?」
「俺は…
楽器が買えない分…
誰よりも
歌を頑張ろうと思う…。
楽器がなくても…
声が出る限り
歌は歌えるから…」
「へぇ…そっか。頑張れよ」
優太は軽く微笑み、肩をポンと叩いた。
夕暮れ時の陽に照らされて、2人は帰路につく──。
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