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「いやいや、俺はいいよ…。こんないっぱいの人の前でなんか歌えないよ…」
「ふ~ん。まぁ、たっちゃんの好きにすればいいよ。俺は寝るね」
そう言うと優太は窓際の方へ首を傾け、目を閉じた。
(俺だってホントは歌いたい…でも、こんな大勢な人の前で歌える訳ないよ。カラオケは大好きだけど…そんな勇気俺には無い…)
優太とのやり取りを、さり気なく見ていた将紀が、マイクを使ってスピーカー越しに龍彦に言った。
「たっちゃんさ、歌うまいんだから歌えよー!!俺らとカラオケ行った時は楽しそうに歌ってたじゃねーか!」
「え…!いや…あの…別に歌うことは…嫌いじゃないけど…その…こんなに大勢の人の前で歌うのは…」
「そんなの気にすんなって!自分が歌いたいように歌えばいいんだよ。」
「俺が…歌いたいように…」
「そうだよ。歌うことが大好きなら、それが聞き手にも伝わるって」
「俺…歌うことが大好き…でも…でも!」
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