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遥か昔の名も無き世界であった頃、二人の夫婦神が降臨なされた。この名も無き世界を形作るよう命を受けた、白と黒の名を冠する二柱の神である。
名も無き世界には、ただ一つの小さな島しかなかった。そこは、灰色しかない混沌とした場であった為に、灰色の島と名付けられた。
そこで白の男神は言った。
「この世界に色を灯そう。小さいけれど、暖かい世界にするために」
その言葉に黒の女神はただ頷かれた。
二柱はまず、炎のような男神を生んだ。男神は輝く紅の石を手に持って生まれたので、赤の色を授けられた。
次に生れたのは、片目に荒々しくも優しい風合いの石を持つ男神。その神に与えられたのは、橙の色。
その次に生まれたのは、希望の色を手にした男神。黄の色を授けられた。
その次には、静けさを湛えた石を額に持っている女神であった。始めての女神に、白の男神は喜んだと言う。その子には、緑の色を与えた。
二柱の神と子供達は仲睦まじく暮らしており、灰色の島にも多くの色が灯った。
そのうちに、海の色の耳飾りを持った女神が生まれた。その子には、青の名が与えられた。
この時を持って、灰色の島は始まりの島と名が改められた。
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