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白の神は静かに笑った。
「それでも、だ。生まれたものには生きる権利があるのだ」
黒の女神と白の男神はただ見つめあった。
「愛しています」
女神はそのまま男神の前から去り、八人目の子を海へと捨てた。そして、女神は始まりの島を二つに割り、世界の果てと果てに置いた。その島の名は白の島、黒の島という。八人目の子の亡骸からは、新たな大地が生まれた。
白の男神は言った。
「あの子は、生きていたのに。……いや、これ以上は言うまい。もう会うこともないだろう。そして、黒の島に再び光が降り立つこともないであろう」
黒の島は、それ以降薄暗い闇に包まれ二度と光を見ることはなかった。
女神は言った。
「あなたを憎みますわ。憎みます」
女神は数人の人間の始祖を連れて黒の島へ行き、二度と白の島に来ることはなかった。
その後、白の神も悲しみのあまりに白の島にお籠りになられた。
七柱の兄妹もまた悲しみにくれた。やがて、黄の男神が言った。
「私達の父と母が望んだ楽園を再び作ろう。八人目の子とともに」
七柱は八人目の亡骸の上に国を作った。
青の女神は言った。
「父と母の悲しみが癒えた頃に、虹を架けましょう。二柱が愛した色で、白と黒の島に」
そして、ついに八人目の子に名が与えられた。イリス、と。
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